地球上のあらゆる動物は、動・植物を食べ、大気から酸素など必要な物質を取り込んで活動・成長し、その過程で利用できなかった物を排泄物やゴミ、呼気などにして地球環境へ返します。また植物は、動物が排出した二酸化炭素や水などを取り入れ、光から得るエネルギーで光合成を行って生長し、その結果生じた酸素や廃熱を地球環境に捨て去ります。そして植物はまた草食動物の餌になり、草食動物は肉食動物の餌になり、やがてすべての動・植物は微生物によって分解され土に戻ります。
このように、人間や微生物を含む動物と植物は、生態系という一つの大きなサイクルを形成し、もちつ・もたれつの状態を保って循環しています。
そこで、化学肥料や農薬に頼らずに稲や野菜・果物などを栽培し、それらの作物を人の食料や家畜の飼料などにし、自然の生態系に近い状態の中で畜産や酪農と農業・人の活動をリンクさせて、ある一定の地域内で循環していく農業を「循環型農業」と呼びます。
かつての日本は、草や虫を人の手で取り除き、ワラや家畜のふん・尿をたい肥として作物を育てていましたが、今では農作物を効率よく生産するため化学肥料に頼り、農薬で草を退治し虫を殺して、家畜の飼料さえ輸入するようになってしまいました。「循環型農業」の基本は、農産物を人間と家畜の食料とし、家畜のふんや尿・人間の食べ残し、作物のワラなどを堆肥に活用して微生物に分解させることでよい土をつくり、農産物に栄養を与える……という、地域内のサイクルにあります。
生態系と共存し土の力をつける「循環型農業」を推し進めることは、地球環境の保全はもちろん、日本の食糧自給率を向上させ、将来の食糧問題を解決することにもつなるのです。
地球環境の保全と食の安全が叫ばれる今、農薬や化学肥料に頼る農業ではなく、土を肥沃にして自然と共存することで地球環境の保全にも貢献する「循環型農業」こそ、私たちの使命と考えています。
私たちの育てた安全な米や野菜、イチゴを食べて「おいしい!」と言ってもらえることが、一番嬉しいですね。